ニキビ(尋常性ざ瘡)
ニキビ(尋常性ざ瘡)
尋常性ざ瘡とは、つまった毛穴の中に皮脂が溜まり、アクネ菌が増えて炎症を起こす病気のことです。強い炎症から毛穴の周りの皮膚に障害を与えると、瘢痕いわゆるキズあとになり残ってしまうこともあります。思春期がピークで、成人以降は次第に減少していきます。皮脂の分泌の多いおでこや眉間、頬や口周り、あごの周りにできることが多いですが、背中や胸などにもできます。
主な原因は過剰な皮脂の分泌、毛穴の出口の角化による閉塞、ニキビ菌の繁殖の3つと言われています。それに加え、日常生活におけるストレスや睡眠不足、偏った食生活など生活習慣の乱れ、遺伝性因子などが複雑に関与し、皮脂の分泌が促進され毛穴に皮脂がたまりやすくなります。また、スキンケアにおいてクレンジングを過剰にしてしまい皮膚に必要な皮脂まで落としてしまったり、皮膚を強くこすりすぎて角質を傷つけたりすることも原因の一つになります。
はじめに毛穴に皮脂がたまると、毛穴の先が閉じている閉鎖面皰(白ニキビ)と開いている開放面皰(黒ニキビ)ができます。さらにこの皮脂にニキビの原因菌であるアクネ菌が作用し、さまざまな炎症を起こす物質を作り出して炎症を起こし、赤いぶつぶつの炎症性丘疹(赤ニキビ)となります。丘疹が進行すると、毛孔が破壊され、膿疱(黄ニキビ)になります。これを放置すると瘢痕になってしまうこともあるので注意が必要です。
ニキビに対する基本的な治療は大きく分けて3つです。①局所療法②全身療法(内服療法)③生活指導の3つです
炎症性丘疹(赤ニキビ)や膿疱(黄ニキビ)に使用します。キノロン系のゼビアックスローションやアクアチムクリーム、リンコマイシン系のダラシンTゲルがあります。
レチノイド(ビタミンA誘導体)様作用をもつ外用薬で毛穴の詰まりを取り除く作用を有する外用薬です。白ニキビと赤ニキビに効果があります。使い始めから2週間以内に赤み、ヒリヒリ感、皮むけなどの刺激症状が現れることが多いです。ただし、刺激は一時的なもので徐々に軽減していくことが多いです。また、妊娠中の方や妊娠している可能性がある方はディフェリンを使用できません。
べピオは、ニキビの原因菌であるアクネ菌などの細菌に対する抗菌作用と角層剥離作用(ピーリング)を有する外用薬で、白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビに効果があります。
2週間~3ヶ月ほど塗り続けることで効果を実感することができます。治療をやめてしまうと、ニキビがくり返しできてしまうことがあります。皮疹の軽快後も治療を継続することで、軽快した状態を維持することができ、ニキビができにくい肌を作ることができます。使いはじめに、赤み、ヒリヒリ感、皮むけ、乾燥などの刺激症状があらわれることがありますが、多くの場合、1ヶ月を過ぎると刺激を感じる頻度は減っていきます。まれにアレルギー性のかぶれを引き起こす場合があります。顔がむくんだり、汁が出てくる様な場合はすぐに使用を中止してください。赤みやヒリヒリ感だけであれば単純な刺激症状の可能性が高いので中止する必要はありません。ベピオには漂白作用があるので、髪や衣服につかない様に注意してください。また、紫外線に当たらないようしてください。
ベピオと抗菌薬のダラシンTゲルの合剤です。抗菌作用、抗炎症作用、角質剥離作用などの複数の作用を有することにより炎症性にきびを早期に改善する薬剤です。
ベピオとディフェリンの合剤です。2つの薬の効果を併せ持つため難治性ニキビに用いられます。
テトラサイクリン系のビブラマイシンやミノマイシンが代表的です。副作用で歯への色素沈着があるので小児への投与は注意が必要です。その他マクロライド系のルリッドなどがありますが、ルリッドとダラシンTゲルの併用は効果が少ないので注意が必要です。
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)などを用いることがあります。
規則正しい生活を心がけてください。睡眠を十分にとり1日に2回は洗顔してください。スキンケア用品はノンコメドジェニック(ニキビ発生を防ぐ商品)を選ぶようにしましょう。
ニキビを自分で潰すのはやめましょう。感染を起こしてさらに悪化してニキビあとになる可能性があります。面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)という治療がありますので当院にご相談ください。
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