やけど(熱傷)
やけど(熱傷)
一般的なけがの一つで、熱に接触することで起こる皮膚の損傷を言います。熱の温度と接触した時間によって損傷の程度が決まります。熱源が非常に高温の場合は短時間の接触で熱傷を起こす一方、40度前後の低温の熱源に長時間接触した場合も熱傷になり、これを低温熱傷(低温やけど)と呼びます。熱傷の程度は深さによって3段階に分けられます。I度熱傷は表皮まで、II度熱傷は真皮まで、III度熱傷は皮下組織(脂肪組織)まで損傷が及ぶものを指します。Ⅱ度の熱傷はさらに「浅達性II度熱傷(浅いII度のやけど)」と「深達性II度熱傷(深いII度のやけど)」に分けられます。熱傷の深さと範囲によって、治るまでの期間や傷痕などの後遺症の有無が大きく違ってきます。ちなみに、一般的によく言われる“火傷”という言葉は正式名ではありません。
原因となる熱源としては、カップラーメンや熱いお茶、熱湯、天ぷら油といった液体から、ストーブなどの暖房器具、電気ポットや炊飯器、アイロンといった電気製品が多いです。小児の場合は花火による熱傷もよく見られます。乳幼児の場合は床に置かれた電気ケトルを倒したり、炊飯器やポットの吹き出し口からの蒸気に触れたりして受傷するケースも少なくないです。低温やけどは、湯たんぽ、電気あんか、電気毛布、使い捨てカイロなどによって就寝中に受傷することが多いです。特殊な熱傷としては、落雷や高圧電線などの電流による電撃傷や、酸、アルカリ溶液などの薬品による化学熱傷、放射線の被ばくによる放射線熱傷などがあります。
症状の程度は熱傷の深さによって異なります。
熱傷が深ければ深いほど治るのに時間がかかり、傷跡も強く残ることになります。
応急処置として受傷直後にできるだけ早く患部を冷やし始めることが重要となります。流水による冷却が一般的ですので、狭い範囲なら水道水、広範囲であれば風呂のシャワーなどでしばらく冷却してから受診してください。ただし、小児や高齢者で広範囲の熱傷を負った場合は、低体温にならないように注意が必要です。時間がたつと腫れてくるので、指輪などはあらかじめ外しておく。水ぶくれができているときは、できるだけ破らないようにしてください。服は無理に脱がさず着衣のまま冷却する。
やけどを正確に診断するのは意外と難しく、経験を積んだ専門医を受診することが必要となります。当院では熱傷専門施設でトレーニングを積んだ医師が診察しますのでご安心ください。
I度熱傷に特別な治療は必要ありません。痛みが強いので受傷当日は冷却をお勧めします。II度熱傷には軟膏や創傷被覆材と呼ばれる特殊な絆創膏を用いることが多いです。創傷被覆材は使い方次第では処置時の痛みも少なく傷も早く治る非常に優れたものですが、傷をしっかりと観察しながら使わないといけないので注意が必要です。III度熱傷は小範囲であれば外来通院で治療が可能ですが、範囲が広ければ入院加療が必要になるため、専門施設に紹介させていただきます。
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